岡山県が小中学校30校へ「奨励金」とは、なんのため?


山陽新聞2014.2.10 Web版掲載記事より一部引用

成果挙げた小中校に「奨励金」 岡山県、14年度交付の方針

岡山県は10日までに、学力向上や不登校、いじめの改善などに顕著な成果を挙げている小中学校30校に対し、各校が独自に活用できる「奨励金」を2014年度から交付する方針を固めた。県によると、全国初の取り組みという。

山陽新聞記事全文

伊原木知事は、選挙公約から「教育県岡山の復活」を政策の柱の一つとして掲げてきました。
その中で、例えば学校が荒れていることに対しては「素行の悪い一部の生徒により、多くの真面目な生徒に不利益が生じてはいけない。」という発言とともに、素行の悪い生徒を一時的に排除する趣旨の発言もみられました。

今回、知事査定として、成果が出た学校への「奨励金」という具体的な施策として現れたことについて考えたいと思います。
実績があがった小中学校を30校選び、先進的な取り組みを進め広めるために、各学校の裁量で使用できる奨励金(100万円)を交付するという内容です。
実績を上げるための努力に対するインセンティブとしての効果を期待していると思われますが、以下に問題点を上げます。

1、インセンティブになるのか?

成果を出した学校への奨励金となると、取り組みを実施し、なんらかの尺度で評価することによって選定を行うことになると思います。その場合、取り組みから奨励金の交付までにタイムラグが生まれることになります。おそらく年度を超えたタイムラグです。
現場の教員は年単位で学校を移動をしています。もちろん1校に数年とどまっている場合、成果の出た取り組みを行った先生が残っている可能性もあるが、残っていない場合もあります。先生の視点から見てに取り組みが評価されることは、良いかもしれませんが、自分が移動した後に交付されるかもしれない奨励金がインセンティブになるのか疑問が残ります。

2、学校間の格差拡大にならないか?

成果を出した学校への奨励金を出すということは、改善が進む学校はさらに進むが逆に改善に苦労している学校は苦しんでいるままです。義務教育である小中学校で学校間格差が広がる方向の施策は正しいのかどうか?むしろ改善に苦しんでいる学校にこそリソースの割り当てが必要だと考えます。

3、奨励金「100万円」はなんのため?

この施策が盛り込まれる予定の2014年度一般会計の予算要求額は、6,585億円となっています。そこからみると1校あたり100万円(30校へ交付で総額3,000万円)は微々たる金額かもしれません。しかし納税者側から観れば、高額だと感じます。
さらに、交付を受ける学校から観てみると、児童数100名以下の小学校から1,300名を超える小学校までの幅(岡山県、平成24年度資料)がある中で、100万円の意味は全く違ってくるでしょう。
100万円という金額の根拠はどこにあるのか?学校側がどういった活用をすると想定しているのか?そして、それによって何が得られるのか?
ただ成果を出すことへのインセンティブを作るために象徴的に決められただけとすれば、納得できません。

では、学校が抱える問題を解決していくために先生がやる気を持って望むには何が必要か考えてみます。

1、苦労している現場をサポートするリソース配分

義務教育としては、地域の未来を支える子ども一人一人を大事にする姿勢が、まず求められると考えます。
そのためには、先進的な取り組みを伸ばすことも大事ですが、苦労している学校が改善に向けて踏ん張っていけるサポートが大事だと考えます。例えば、先生が移動していく中で、荒れている学校に赴任するのは気が重いかもしれません。でも、そういった学校こそ、しっかりとサポートしていく下支えしていくという姿勢を県が見せれば、先生も「子どものために頑張ろう」という気持ちになるのではないかと思います。リソースの配分は苦労している場所にこそ求められるはずです。

2、成果を共有したいのであれば、お金より情報を廻す

目的の一つとなっている「先進的な取り組みを県内に普及させる」ことをするのであれば、お金より情報の流通と共有を進める方が効果的なのではないでしょうか?
教員用の情報共有ツールを作ったり、県内の学校を巡回して他校事例などを元にアドバイスや実際にサポートするような人材配置を整備して、苦労している学校へ成功した学校のノウハウを共有できる仕組みがあればどうでしょう?
年間3,000万円あれば、情報共有ツール(教員専用のグループウェア・SNS)か数名のサポーターは確保できるはず。

未来の世の中を作っていく子どもたちに、何ができるか?
先に生まれて育ててもらった者にとって最大の責任だと思います。
小中学校は、子どもたちにとって、学力や生きる価値観の基礎を作っていく場所です。
一定の価値基準の上で、伸びる子だけ伸びれば良い。そんな地域には、なってほしくはない。多様な価値を認めて辛い想いを抱えて育つことがない地域になってほしいです。

記事:伊東 大輔


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